新築木造は、まず儲かりません

こんにちは、マーブルの高野です。

 

今回は、前回の続きで、

【ケース分析】セグメント④都心×軽量物件<新築アパート後編>をお送りします。

 

前回の記事

【ケース分析】セグメント④都心×軽量物件

前回の記事では、最近出回っている新築木造(シェアハウス含め)は、投資家が儲かる可能性が少ないというケースをお伝えしました。

では、何故このような投資案件がどんどんマーケットに出て、売買が成約しているのでしょうか。

 

それは、このようなタイプの案件で儲かっているプレイヤーがいるからです。

前回ご説明した習志野物件でご説明します。

 

①販売している業者

本件は、業者が土地を仕入れて木造APを建て、満室にしたのち6,950万円(表面7.18%)で売りに出したものでした。

土地価格は路線価2,400万円の仕入れとした場合、単純に売買代金における建物価値が4,550万円ということになります。

 

しかし、木造アパートの建築コストは通常どの程度かかるものかご存じでしょうか。

通常、収益価格のみで物件価値を判断している一般投資家は見落としがちな点ですが、安い建築会社では、40万円/坪程度で作れてしまいます。

本件は建物面積160㎡なので、実質的な建築コストは2,000万円以下ということです。

 

つまり、販売価格における建物価値4,550万-建築費2,000万=2,550万が本件プロジェクトの業者の得る粗利ということになります。

ここからリーシング費用、取得税等を差し引いても、2,000万円以上の利益が出るという計算です。

 

②融資を出す銀行

前回の記事では、劣化対策等級2級をとる事で融資期間を30年程度に期間を延ばして融資を出す銀行が増えているという点を説明しました。

物件価格6,950万円のフルローン・金利1.2%・融資期間30年・元利均等返済の場合を見てみましょう。

Yr20での売却を想定した場合、その間の支払金利をすべて足し合わせると、約1,240万円になります。

 

長期の元利均等返済は、当初数年間は返済における元金があまり減りません。

仮に、耐用年数に合わせた22年での借り入れの場合、20年間の支払金利は約1,020万円です。

 

そもそも、この数年で収益物件への融資残高が異様に伸びている理由は、銀行の貸出先の開拓が困難になってきている点にあります。

少子高齢化で、貸出先企業の廃業や倒産等が多く、新規融資が伸びず、支店の貸出残高の維持に苦労しているような地銀にとって、

(1)物件を担保に取れ

(2)収入のあるサラリーマンの連帯保証も取れ

(3)貸出ロットが大きく

(4)比較的高金利が取れる

というような収益物件融資は、まさに願ってもない貸出先です。

劣化対策等級2級のおかげで、30年、長期の元利均等返済の貸付ができることでメリットがあるのは、実は投資家ではなく、、、という可能性は十分ありますよね。

 

③管理会社

付き合いのある管理会社へのヒアリングによると、「新築物件の管理戸数をできるだけ増やせ!」と指示が出ていることそうです。

これは単純に、新築であれば入居1巡目の客付けはかなりラクな反面、広告料はしっかり1-2か月取れるという点。

さらに、新築ゆえ、入居者からのトラブルの報告がほとんどない、といった理由があるようです。

本件では、20年間で管理と清掃で約580万円。リーシングと原状回復費用で約500万円。トータルで1,000万円以上、管理会社に支払うこととなります。

 

これら①-③のプレイヤーには(分かりやすくするため時間的価値を無視して)このプロジェクト一つで、それぞれ1,000万円以上のお金が落ちることになります。

 

一方、先日ご説明したように、投資家は850万円程度のマイナスとなってしまいます。。

一番リスクを取って事業を開始しているはずの投資家のみが損をして、その他プレイヤーが儲かる構造。それが新築木造投資に起こりやすい特徴です。

 

実際に数字で考えると、マイソクのみでは理解できなかったリスクがあぶり出てくるのではないでしょうか。

 

投資家にとってタチが悪いのは、購入後2年程度は、しっかりCFが出ているように感じる点。

その後、家賃下落とともに赤字になっても年間50万円以下の赤字におさまるため、給与所得がそれなりにあるサラリーマンであれば、保有し続けることができてしまうので危機感を持ちにくいという点です。

これは、ローンを返済し終われば資産になるという業者の説明を鵜呑みに、実態は損切りを繰延しているだけです。

 

考えてみれば恐ろしい事ですよね。

地方×重量のセグメントを考えていた人にとっては、低利に見える金利1.2%で不動産投資ができるといった事でパッと飛びついた方もいると思います。

しかし、終わってみれば儲かったのは周りにいた人だけでした、という結末になる可能性も高いと感じます。

 

木造3階建ての新築が乱立している状況を見ても、私個人的にはやりすぎなんじゃないのかな、、と思ってしまいます。

 

みなさまの投資の一助になりましたら幸いです。

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