こんにちは、マーブルの髙野です。
今回は、前回4種類のセグメントに分けた物件タイプのうち、「都心×重量物件」について。
セグメントの右上になります。
セグメントの都合上、一都三県を「都心」としておりますが、もちろん千葉・神奈川・埼玉と東京の都心5区では全く価格が異なります。
このセグメントを価格×物件エリアでブレイクダウンすると下記の図になります。
フルローン近くの融資前提で購入するサラリーマン投資家の方で、都心5区辺りに重量物件をお持ちの方はほとんどいないのではないでしょうか。
現状、表面利回りが5%を切ってくる水準となっているため、どんなに安い金利でローン調達できた場合でも、フルローンでは収支が合わず自己資金の拠出が必要になります。
売買価格2億の物件とした場合、LTV90%の場合でも諸経費と合わせ3-4,000万近くの現金を使える人が対象となってきますので、一般のサラリーマンにはまず難しい水準です。
同じく、サイズが5億円を超える物件も規模が大きすぎるため、個人が融資付けをして買うには無理があるロットになります。
フルローン近く引ける現実的な線で考えると、ターゲットとすべきは左下の「ターゲット1」ないしは「ターゲット2」あたりの物件を狙っていくことになります。
ターゲット1:
東京の郊外~千葉・神奈川・埼玉一円で、2億円以下の物件。
目安として給与所得1,000万円程度であればチャレンジ可能なセグメントです。
地方にアレルギーのある投資家が狙っているため競合は多く、利回りは表面7-10%程度での取引が多いように感じます。
セグメント1と比較し利回りがタイトになため、やはりフルローン前提だと、なかなか物件が見つからないのが現状です。
ターゲット2:
ターゲット1より都心より、2-5億円程度のロットの物件です。
目安として給与所得1,500万円~2,000万程度であればチャレンジ可能なセグメントです。
ロットが5億円に近いほど個人だと大きすぎて融資付けが難しく、一方で法人には小さい水準となります。
その為、このセグメントは意外に競合が少なく、利回りの高い掘り出し物が見つかる可能性が高いと言えます。
高所得者で属性を活かした融資が引ける場合には、狙ってみるのも面白いと思います。
これらのセグメントの特徴としては、下記の通りです。
積算評価が出にくい:
積算評価の土地は、相続税路線価を基準に算出されます。
この相続税路線価はあくまで税金の課税ベースとなる指標であり、必ずしも実勢売買価格を反映しているものではありません。
特に都心部の物件は、相続税路線価が実勢売買価格の50%程度になることはザラにあります。
その為、都心の物件であればあるほど、いわゆる積算評価が出にくい物件となります。
金融機関の物件評価は「積算」と「収益還元法」のどちらか、場合によっては両方で算出し、低い方を採用するといった形が一般的です。
このセグメントを購入することで積算評価を重視する金融機関は今後の融資で使いにくくなる可能性が出てきます。
金融機関の出し手が多い:
融資条件は4つのセグメントの中で最もいい条件で調達が可能です。
金利1%を切る水準でメガバンクで調達されている方も多くいらっしゃることと思います。
また、金融機関の出し手が多いため、借り換えのオプションを探しやすいという特徴もあります。
弊社の付き合いのある金融機関も、このセグメントでフルローンを出してくれる金融機関は複数おりますが、最近はマイナス金利の影響もあり、貸出金利が住宅ローン並(0.5%以下)で調達できるケースも出てきました。
これはセグメント1ではまず調達できない条件です。
賃貸募集条件が恵まれている:
下記3点は都心物件ならではのメリットです。(場所によります)
セグメント1を保有する投資家の方は理解いただけると思いますが、まず地方物件ではこれらを取る事はできません。
・礼金が取れる
・更新料が取れる
・募集時のAD(広告料)が1か月程度で済む、うまくいくと礼金と相殺で、持ち出しゼロでリーシング可能
賃貸は決まりやすい反面、値下がりも大きい:
都心のRCや重量鉄骨は入居者からも人気があるため、退去者が出た後、次の入居者が決まるまでの間(ダウンタイム)は最も短いと言えます。
地方の物件であれば、一度空いてしまうと、翌年の繁忙期(1-3月)まで空室になることもザラにありますが、都心の物件であれば時期に関係なく埋まります。
一方、特にファミリータイプでは家賃の下落が生じやすいです。取れている家賃が10万円を超える部屋では、1万円単位での指値が入ってくることもあります。
OPEX項目が多い:
家賃の高いRCになる程、高い設備も必要となってきます。
エレベーター・エントランスオートロック・追い焚き給湯器・無料インターネットなど、セグメント1では不要な設備が増え、毎月のランニングコストがかかってきます。
一方、取れる家賃は高いものの、原状回復費用に大きな差はないため、家賃比率の原状回復費用は全セグメントで一番リーズナブルです。
Exitの確からしさが高い:
私自身の投資経験からの実感ですが、このセグメントは売却先を探しやすいと言えます。
サラリーマン投資家の他、現金が使えるアジア系外国人や富裕層も参入しているため、投資家の母数が地方と比べ圧倒的に多いです。
その為、収益価格では説明できない意外な高値で買い付けが入る事もたまに発生します。
私自身、このセグメントで3物件売却したことがありますが、うち2件は台湾人と中国人投資家でした。
KSF(成功要因):
競合が多いため、いい物件が出てきた場合でもすぐに買い付けが入り、買えないケースが多いセグメントです。
物件を購入するには事前に金融機関を開拓しておき、大まかな融資枠を取っている方、もしくは頭金を10-20%程度使える方が圧倒的に有利です。
業者の立場でも、このセグメントはお客さんに融資が付くかどうかの判断が難しいため、融資の心配のない方に優先的に紹介を考えます。
また、他のセグメントと比較し、最初からメガバンク等の低金利の金融機関から調達ができる可能性が高いです。
その為、多少利回りが低くても融資が引けるという理由のみで買ってしまい、後から苦労している投資家の方も多いように思います。
今のマーケットでは、フルローン前提にお考えの投資家の方は、「無理に買わない」という判断も立派な戦略ではないでしょうか。
【まとめ】セグメント②都心×重量物件
セグメントの特徴:
・給与所得1,000万円からチャレンジ可能(目安)
・利回りがタイトなので、自己資金を使える方が望ましい
・積算が出にくい物件が多い
・金融機関の出し手は多く、融資条件が最も良い。借り換えや売却もしやすい
収支に与える影響:
・表面利回りが低い物件が多い(物件価格が高い)⇒物件価格に対し、収入が少ない
・募集条件が恵まれている(礼金、更新料、AD)⇒リーシングコストの削減
・空室は埋まりやすいものの、家賃下落幅も大きい(特にファミリータイプ)⇒収入のブレ幅が大きい
・家賃対比の税金(取得税、固都税)が比較的高い⇒経費率が高い
・家賃に見合った高額な設備が必要となる⇒経費率が高い
・家賃対比のランニングコスト(原状回復など)が低い⇒経費率が低い
・調達金利が低い⇒経費率が低い
・Exit(物件売却)の確からしさが高い⇒売却価格が読みやすい
KSF(成功要因):
・物件の足が速いため、事前に融資先のあたりを付けておく
・フルローン前提の場合、無理に買わない判断も必要
・表面利回りが低く、イールドギャップを確保するために最初から低金利で調達する
みなさまの投資の一助になりましたら幸いです。
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