収益物件のセグメント 「地方×重量物件」

こんにちは、マーブルの髙野です。

 

今回は、前回4種類のセグメントに分けた物件タイプのうち、「地方×重量物件」について記載いたします。

セグメントの左上になります。

「地方」の定義については、便宜上、一都三県以外ということにします。

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ざっくり、給与所得が700万円程度ある方であればチャレンジできる可能性の高いセグメントです。

数年前までは、表面15%オーバーの物件もゴロゴロあったので、2-3棟を短期間のうちに購入し、一気に投資規模を拡大した方もいらっしゃると思います。

現在の高騰しているマーケットにおいては、平成築のRCが、表面利回り10-12%程度で販売されている感じでしょうか。

特に2012年後半から、中間省略業者がわさわさ入ってきて利回りが急にタイトになってきております。

 

積算評価が出やすい:

このタイプの物件は、セグメント②と比較し、売買価格の割に積算評価が高い特徴があります。

積算評価の算出は、「土地」と「建物」に分かれますが、建物部分は構造別の建築単価×延べ床面積×残存価値で計算されます。

例えば平成7年のRC、延床1,000㎡の物件の場合、建築単価が17万円/㎡、耐用年数47年とすると下記のような計算で概算価格が算出されます。

170,000×1,000×20/47=7,234万円

建物積算の計算は地方でも都心でも同じで、土地における路線価と異なり、エリアによる建築単価の違いはありません。

家賃の低い地方でも、高い都心でも同じ方法によって算出されます。

地方物件の積算価格が高く出がちな理由の最大要因はここにあると思います。

 

そのためセグメント②と比較した場合において表面利回りは高く、積算評価が出るため一部の金融機関で、サラリーマンの方でも比較的容易に物件を購入することが可能となります。

短期間にアセット残高を積み増した人はこのパターンが一番多いと思います。

 

しかし、注意すべき点も多くあります。

 

経費率が最も高い:

建物価格が高いということは、固定資産評価額が高いということです。

つまり、家賃に占める固定資産税・都市計画税の割合が高く、経費率が高くなることを意味します。

ざっくりとしたイメージで、地方RCの固都税額は、満室想定家賃の1か月分程度になることが多いです。

当然ながら、購入時にワンタイムでかかる不動産取得税にも同じことが言えます。

 

家賃対比での経費率が高いという点では、原状回復費用も同様です。

都心でも地方でも、間取りが同じであれば、退去時の原状回復費用にほぼ差はありません。一方取れる家賃は場所によりますが、2倍3倍といった水準で異なってきます。

この点でも、地方の方が家賃が安いだけ経費率は高くなります。

 

融資調達についてもよく検討してから購入する必要があります。

購入希望者が東京のサラリーマンの場合、このセグメントには融資が付きやすい反面、金融機関の数は限定的で、金利も高くなりがちです。半分以上の人が金利4.5%の某金融機関を使っているのではないでしょうか。

したがって、購入後、安定稼働させた上での金利交渉なり、ほかの金融機関への借り換えのオプションも検討しなくてはならず、他のセグメントよりAMにかける力が必要となってきます。

特に、下記の状況になっている場合は、年々売却リスクが高まりますので、AM活動による財務体質の強化が必要です。

・築年数が古く、耐用年数をオーバーする融資を引いているケース

・ローン残高よりも建物積算の減少幅が大きく、何年たっても残債>積算となっているケース

 

空室が埋まらない:

私は自分の経験上、マーケティング次第で、ほとんどの地域で満室まで埋めることができると思います。

しかし、地方の一部には、本当に埋まらない地域があるということも事実です。また、1Fがテナントになっている場合、まず高い確率で今後のテナントは見つかりません。

この点は、購入前の調査を慎重にする必要があります。

 

物理的に管理が難しい:

基本的に地場の管理会社にPM業務を依頼することになりますが、やはり簡単に訪問できる立地と異なり、管理会社任せになりがちです。

もちろん、信頼関係ができていれば電話・メールのコミュニケーションのみでほぼ事足りるのですが、最初のうちはここがなかなか大変です。

私のケースでは、全て管理会社に任せていたら、蛍光灯1カ所交換のみで1万円近く取られていた事もありました。。

 

Exitの確からしさが低い:

最終的に投資を終了する際の売却についても、他のセグメントより注意が必要です。

金融機関の出し手が限られる場合、物件売却時の売り先もそれだけ限定的になります。

特に、融資を引いて大型の地方物件を購入する場合は、最終的にどういったプレイヤーに売却するのか、しっかりとあたりをつけておく必要があります。

収益物件と投資が本当に成功したかどうかは、売却時にならないとわかりません。このタイプの物件は、そのリスクが他のセグメントより大きいことは確かです。

 

KSF(成功要因):

暗くなる点ばかり書いてしまいましたが、この分野はエリアの見極めとAMをうまく行う事で一番キャッシュを残せ、かつ一気に投資拡大できる可能性があります。

空室を埋める活動もそうですが、一番重要な点は調達金利を下げる財務活動です。

表面利回りが高い分、調達金利を下げることで、他のセグメントにはない高いイールドギャップを作り出すことができます

また、メガバンク等で最初から安い金利で物件を購入できる一部の高属性の方にとっても、狙うべきセグメントと言えます。

 

【まとめ】セグメント①地方×重量物件

セグメントの特徴:

・給与所得700万円程度であればチャレンジ可能(目安)

・積算が出る物件が多く、融資がひきやすい⇒投資規模を拡大しやすい

・一方、銀行の出し手は限定的で高金利になりがち

 

収支に与える影響:

・表面利回りが高い物件が多い⇒収入が多く見込める

・家賃対比の税金(取得税、固都税)が高い⇒経費率が高い

・家賃対比のランニングコスト(原状回復など)が高い⇒経費率が高い

・調達金利が高い⇒経費率が高く、AMによる改善が必要

・空室が埋まらない可能性がある⇒収入が下がる可能性がある

・遠距離による物理的な管理リスク⇒経費率が高くなる可能性がある

・Exit(物件売却)の確からしさが低い⇒売却価格が読みづらい

 

KSF(成功要因):

・埋まるエリアの見極め

・購入後のAM活動(特に、調達金利の引き下げ)

・Exitの当たりをつけておく

 

みなさまの投資の一助になりましたら幸いです。

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