こんにちは、マーブルの高野です。
収益物件投資をお探しの方で、いわゆる「新築木造アパート」を検討されている方は多いのではないでしょうか。
ここ数年、取扱い業者が増えているセグメントです。様々な業者が著名人を使ったテレビCM等を頻繁にやっているのを見た方も多いと思います。
弊社のお客様にも投資している方の多いセグメント④都心×軽量物件ですが、
これは減価償却狙いの築古物件を購入している方が多く、いわゆる新築(業者が満室にして1年目に販売する物件含め)を購入した方はおりません。
既に結論が見えてしまった気もしますが、
私は、投資家が新築アパートを購入し、投資家自身が最終的に儲かる案件はほとんどないと思います。
これは数字で見るとはっきりと理解できると思います。
まずは添付のマイソクをご覧ください。
この物件を前回同様、年収1,000万の方がフルローンで買った想定とします。
千葉県習志野市、京成大久保駅徒歩圏内にある、業者が建築後に満室にして売りに出した築1年のアパートです。
確定利回り7.2%、積算が4,700万円と売価の70%程度出ており、条件としてなかなかだなと思う方も多いと思います。
20㎡弱の学生・社会人の若者単身者向けアパートで、家賃は共益費込で5.1-5.3万円(約8,500円/坪)取れています。
これは募集家賃ではなく、実際にこの家賃で成約し、入居がついております。
新築木造物件が流行している最大の理由として、各金融機関が低利で融資を付けやすいという点があります。
最近多いのは、例えば、劣化対策等級2級をとる事で融資期間を30年程度に期間を延ばし融資調達をしているケースです。
試しに、物件価格6,950万円に対し、フルローン・金利1.2%・期間30年で試算してみましょう。
フルローンなので必要自己資金は約528万円ほどとなります。
購入時諸費用(右側)、ランニングコスト(左側)は下記の通りです。
期中の収支は、通常の軽量物件とほぼ同様です。
新築ですから、管理は3%程度で引き受けてくれるケースが多いと思います。
また、当面のCAPEXも不要のため、原状回復やリーシング費用もそこまで多く見積もる必要はありません。
リーシング1巡目は稼働率100%のため、Yr1-2年はNCF100万円近い金額が入ってきます。
フルローンのため投資した自己資金が約528万円ですから、年間100万円のCFが見込めれば良い投資のように思えます。
問題はここからです。
リーシング2巡目(早いとYr3)から新築プレミアムがはげて、徐々に家賃が下がってきます。
SUUMOで京成本線/京成大久保 20m2以上~25m2以下で検索してみたところ、新築は5.3万円程度で募集しており、実際にすぐに入居が決まっている事が分かりました。
しかし、築20年の木造になると、家賃3.5万円(坪単価5,500円程度)でも、空室がゴロゴロしていることが分かります。
つまり、本物件も、20年後には高い確率で坪単価5,500円の物件になるということが分かると思います。
これは新築から20年間、家賃が毎年2.2%程下落していく計算となりますが、
その場合、NCFが2-3年後には50万を切る水準になり、10年目からは赤字に転落してしまいます。
ここからはExitまでずーっと地味な持ち出し生活です。
さらに悲惨なのは、売却や個人の所得税を考慮した際の利益です。
耐用年数22年の新築木造のため、償却期間が長く金利も比較的低いため、初年度から既にデッドクロス(元金返済>減価償却)が発生してしまいます。
こうなるとNCFが赤字にもかかわらず不動産所得が黒字となり、NCFマイナス+個人所得税・住民税のダブルパンチとなります。
不動産投資のリターンをご覧ください。オレンジ色のLevered CFが、Yr9からはNCFがマイナスにもかかわらず税金が発生しているのが確認できます。
20年後の売却を考えた際、表面11.0%で売却すると売価が約2,901万円です。
現在のマーケットで、習志野市の木造・築20年・表面11.0%という条件は売却可能な条件ですが、買い付けが殺到するような価格というわけでもない水準で、このあたりが相場と言える価格です。(少し高いかな??)
そうすると、残債が2,400万程度残っており、売却費用の仲介料もかかるため、売却時のキャピタルゲインはたった272万円程度しか残らない計算となります。
(今回のケースでは譲渡損が出るので、売却時の課税はなし)
オレンジ色のLevered CFをご確認ください。
当初528万の自己資金を使いつつ、期中インカムもYr6から地味にマイナスが続くことにより、売却時の+272万を含めても、本件は税引き後で結局750万程度マイナスとなる投資となってしまいました。
つまり投資失敗です。
購入後に努力をし、金利を1.2%から0.5%に引き下げようが、OPEX比率を下げようが抜本的な解決にはなりません。
購入した時点で、かなり高い確率で負けが見えてしまっている案件という事になります。
本件は、記事のために都合のいいケースに仕立て上げて説明しているわけではありません。
これは実際に売りに出されて成約した物件の話です。しかも、購入希望者の買い付けも複数本入っている物件です。
いかがでしたでしょうか。
次回の記事では、本件から学ぶべきポイントを整理したいと思います。
みなさまの投資の一助になりましたら幸いです。
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