【ケース分析】セグメント①地方×重量物件 後編

こんにちは、マーブルの高野です。

今回は、前回の続きで【ケース分析】セグメント①地方×重量物件 後編を記載します。

 

事業計画

前提条件をベースに作った収支計画を見ていきましょう。

前提条件再掲:

・稼働率90%

・家賃下落率年間0.3%

・売却価格 表面利回り25%(Yr20)

・給与所得1,000万円(課税所得で約625万円)

収入に対してのOPEX割合が33%あるため、表面利回り13.7%の物件でも、物件の稼ぐ力を示すNOI利回りで8%程度になることがわかります。

固定費部分は稼働率の増減による変化はありません。実際にかかっているコストの積み上げをもれなくすることで正確な予測が可能です。

問題は変動費です。変動費の大きなアイテムとして原状回復&リーシングにかかる仲介料・AD等がありますが、本件の年間120万円(家賃収入の6-7%)は決して大幅に見込みすぎているわけではありません。入居期間の長いファミリータイプは、退去時の原状回復で家賃1年分以上もの多額の費用がかかることは、十分起こりえます。家賃の安い地方物件ならなおさらです。

地方で50㎡以上のファミリータイプの物件をお持ちの方は、原状回復費用が50万を超えてしまう経験をした投資家さんもいるのではないでしょうか。

本件は、表面利回りは高いものの、NOIでみると収支がタイトになるということが理解できると思います。

 

次に、ローン返済や減価償却を加味した数字を確認しましょう。

NOIからローン元利払いを引いて算出するNCF(ネットキャッシュフロー)レベルで見ると、利回りが1%以下にまで下がることが分かります。

このNCFが、税前の手残り現金と近い数字となります。

このケースだと120万そこそこの水準となるため、さすがに金利4.5%のオーバーローンを調達すると、期中の収支はかなり厳しいものとなることが理解いただけるのではないでしょうか。

 

一方、期中のNCFが約120万に対し、本物件の不動産課税所得は当面の間50万円を切る水準となります。

手元に残るキャッシュフローとして120万円入るにもかかわらず、課税される金額は50万×税率程度に収められるのですが、これは会計上の費用となる減価償却の影響です。

 

と、ここまでは、少ししっかりしている不動産屋であれば出してくる数字です。

(とはいえ、詳細コストを説明してしまうと物件が売れなくなるので、ここまでも出さないケースが多いと思いますがw)

 

ここから先は、個人の所得税とのからみもあるので少し複雑になります。

 

以前ご説明したように、不動産所得は給与所得と損益通算できるため、購入者の給与収入により、不動産所得にかかる課税額が変わります。

つまり税引き後の本当の利益は、購入者次第で変わってしまうということです。

年収1,000万円の方の給与課税所得は約625万円となります。(給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除などがあるため)

この場合、実効税率は32.1%、所得税+住民税で年間158万円がかかります。

 

一方、購入初年度の不動産所得は、購入時諸経費の経費計上分があるため大幅に赤字を作りやすく、不動産課税所得で359万円の赤字ができます。

その為、給与所得との損益通算課税所得(給与+不動産所得)を265万円まで削減でき、納付する税金は約49万円で済みます。

Yr1以降は不動産課税所得が黒字となるため、減価償却を長くとるRC物件では大半のケースで給与所得の還付はできません。(所得税がYr1に期ズレでかかる場合、当初2年間赤字になることもあります)

税引き後利益=損益通算課税所得(給与+不動産所得)-支払税額

最終行にある物件購入の税メリット=不動産課税所得にかかる税金負担分(プラスは還付)

 

いかがでしょうか。さすがに難しいかもしれませんが、本件は個人の連帯保証を付けて1億円以上のリスクを取る投資です。

自分自身がどういったリスクを取っているのか把握するためにもこれらの知識は必須です。

 

さて、続きに行きましょう。ここからがさらに重要です。

以前の記事でもお伝えしましたが、収益物件投資は期中のインカムゲイン+売却時のキャピタルゲインの多可で投資成否が決まります。

図表のLeverd CFというオレンジ色の行が不動産によるトータル収入です。

今回はオーバーローン想定なので、投資時に270万がのこり、初年度はNCF115万+税金還付109万=224万円といった具合です。

その下の現金残高を見ると、Yr10で大規模修繕1,000万円を入れるということもあり、Yr19までに貯まる現金は約360万円にしかなりません。(現金残高参照)

 

一方、売却時の価格は成約事例からコンサバに表面利回り25%として、6,730万円と想定しています。

ローン残債4,058万、譲渡税470万円を考慮すると、キャピタルゲインは1,800万円そこそこになります。

 

投資全体で考えると、オーバーローンで自己資金ゼロでスタートした物件を20年間保有し、最後に口座に残る現預金が約2,200万円程度ということです。

内訳は、インカンムゲイン約400万+キャピタルゲイン約1,800万円になります。

 

人によっては、

「数年後の家賃収入や20年後の売却価格など分かるわけがないから、予想するだけムダだ!」

「そんな小難しいことを知らずとも、自分は儲かっている!」

と思う方もいると思います。

 

しかし、本当にそうでしょうか。

本ケースでは、最終の儲け約2,200万円に対する期中のインカム収入比率は20%以下です。

つまり、期中のインカムのみではなく、結局はキャピタルゲインまで考えないと投資の成否は分からないということが理解できるのではないでしょうか。

 

「表面13.7%もあって満室賃貸中なんだから、10年も保有すれば相当儲かってるに決まっている!」などと大した分析をせずに購入してしまう人は、本当に危険だと思います。

 

今回、期中のOPEXの見積もりは特段コンサバに作っているわけではありません。このセグメントの物件を保有する際、30%程度の経費率は本当にかかる可能性があります。

大規模修繕(CAPEX)も同様です。高級分譲マンション程のCAPEXを使う必要はないですが、入居者に継続して家賃をお支払いただくには、相応の物件クオリティを維持する必要があります。今回入れているCAPEXは物件を維持する必要最低ラインにとどめています。

 

 

さて、20年保有して口座に残る金額が約2,200万円程度では、本物件は見送るべき案件なのでしょうか。

皆さんの場合、本件への投資はどう判断されますか??

 

投資判断は、しっかり数字で考えると、面白いことが見えてきます。

記事は2回で終わるはずでしたが、次回、本物件のポテンシャルについて追加の記事を書きたいと思います。

 

みなさまの投資の一助になりましたら幸いです。

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